ブラックホールの物理学 ~一般相対論と重力~

By b_kimura,

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※ (株)プロトン・スズキ寄稿

ブラックホールに吸い込まれたシミュレーション動画

いかがでしたか?とても幻想的ですね。
今日は、作成教室の生徒さんM村さんの強い希望によりブラックホールについて色々と書いてみたいと思います。

ブラックホールが出来るまで

一言で言うと巨大な星の終末です。あまりにもこれじゃ簡略化しすぎてるので順を追ってみていきましょう。

恒星の爆発

太陽のように自ら核融合をすることで光る星は、当然ですが寿命があります。
星の燃料が尽きてくる=寿命、なわけですが、星の燃料が尽きてくると何が起こるのでしょう。
ちょっと上でネタバレをしてしまいましたが、爆発が起こります。超新星爆発ってやつです。
太陽の3倍以下の星は静かに冷めていきますが、3倍より大きい恒星はドカンとい花火を打ち上げます。
こちらの記事参照

この超新星爆発は、普通は肉眼では見えないんですが、1987年に大マゼラン銀河で超新星爆発が起こり肉眼でも見える明るさになって、精密な観測がされました。
この超新星爆発で発生したニュートリノという粒子がカミオカンデ(日本のニュートリノ観測施設カ)で検出され、ニュートリノ天文学が急速に発展しました。
小柴昌俊名誉教授が2002年度、ノーベル物理学賞を受賞したのは、このカミオカンデの功績によります。

爆発後

太陽の3倍~8倍の恒星は、超新星爆発の後、何も残らずはじけ飛びます。
ところが、8倍より大きい恒星は、中心に中性子星が残ります。
中性子星を一言で表すと、物凄く高密度で・物凄く重力が強くて、物凄く高速で回転してる化け物みたいな星です。
ちなみに中性子星のカケラを牛乳パックに詰め込むと富士山と同じくらいの質量になり、中性子星の一日は0.01秒くらいだったりします。
もはや星と言えるかも怪しいくらいですね。
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ブラックホール完成

上で太陽の8倍以上の星は超新星爆発の後、中心に中性子星を残すと書きましたが、太陽の30倍以上の星は中性子星では終わりません。
中性子星がさらに重力崩壊を起こしブラックホールとなります。

ブラックホールと一般相対性理論

これまでブラックホールの誕生秘話について書いてきましたが、実はブラックホールを直接観測したことはありません。
じゃぁ、何でブラックホールがあるなんて分かるんだよ!という疑問にお答えいたします。
そもそもブラックホールは光すら吸収しちゃうので、目でも望遠鏡でも観測はできないんです。普段目に見えるものは全て光を反射したり光を発したりしているため見えるのはご存知の通りで、当然、太陽の光を反射していない時の月は見えないですよね。
ブラックホールはその最たる物なわけです。

そんな目に見えないようなブラックホールが存在すると分かった歴史について書いていきます。

かの有名なアインシュタイン博士は1915年に一般相対性理論という、とってもとっても画期的な論文を発表したのですが、その理論の心臓部分である、アインシュタイン方程式が以下の通りです。
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物理学科卒の方なら一度は手計算でこの方程式を導出した記憶はあると思います。大学3年生程度の力学と電磁気学とリーマン幾何学でじゅうぶん何とかなるレベルです。

実はこの方程式を解くのはすごく難しくて、今までフリードマンの解、シュヴァルツシルトの解、クラスカルの解、ワイルの解、カーの解、富松・佐藤の解などなど数個しか解が見つかっていないんです。
ところが、この難しい方程式を解くことで、宇宙の誕生からブラックホールの予言まで様々な現象が分かっているのです。それくらい凄い方程式なんですね。

このアインシュタイン方程式によってブラックホールの存在が予言され、今では、ほぼ間違いなくアルとされています。(はくちょう座X-1 地球から6000光年の距離)

ブラックホールの性質

その凄い式の意味を簡単に書くと、エネルギーによって測地線の計量が曲がる、というわけなんですが、それでも分かりにくいので、例を出して説明してみます。

薄いゴムの板の上にボーリングの玉を置いているところを想像してみましょう。
きっと上に置く前は平らだったゴムの板は玉を置くことでへこむでしょう。
このゴムの板に、さらに重い玉を置けばへこみ方は更に強くなるでしょう。

実は宇宙もこのゴムの板のようなもので、星という重い物が宇宙にあると周辺のゴムの板がゆがみ星の方に引き込むのです。
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宇宙空間に漂っている隕石が地球に落ちてくるもの、地球によってゴム板がへこんで、そのへこみに釣られて落ちてきているわけですね。
では、ブラックホールの場合はどうなってるのでしょう。
ブラックホールは凄い密度で凄い重いので、ゴム板が支えきれなくて破れて穴が開いている状態なんです。
もしゴム板に沿って歩いていたらどんなに頑張っても穴に落ちちゃいますよね。

それは光さえも落ちてしまいます。光は秒速299792.458km/秒という宇宙最速を誇りますが、その光ですらブラックホールの穴に落ちると出てこれません。
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これが先ほど、光を吸収してしまい、目には見えないといった所以です。

もしブラックホールに落ちたら

光ですら抜け出せないブラックホールに落ちたらどうなるんでしょうか。
まず身体が引きちぎられ即死します。その後、身体が分子、原子レベルまでにバラバラにされ、最終的に素粒子まで分解されブラックホールの一部となります。
今まで引き込まれてきた先輩方と同じ素粒子の一部となり10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年後くらいにブラックホールの寿命が来て無事に宇宙の塵になれると予想されます。

もし将来、宇宙空間をワープするような宇宙船が出来ても宇宙空間にぽっかり黒い穴が開いていた際は、高確率でブラックホールなので、注意した方がよさそうです。