ブラックホールの物理学 ~一般相対論と重力~

※ (株)プロトン・スズキ寄稿

ブラックホールに吸い込まれたシミュレーション動画

いかがでしたか?とても幻想的ですね。
今日は、作成教室の生徒さんM村さんの強い希望によりブラックホールについて色々と書いてみたいと思います。

ブラックホールが出来るまで

一言で言うと巨大な星の終末です。あまりにもこれじゃ簡略化しすぎてるので順を追ってみていきましょう。

恒星の爆発

太陽のように自ら核融合をすることで光る星は、当然ですが寿命があります。
星の燃料が尽きてくる=寿命、なわけですが、星の燃料が尽きてくると何が起こるのでしょう。
ちょっと上でネタバレをしてしまいましたが、爆発が起こります。超新星爆発ってやつです。
太陽の3倍以下の星は静かに冷めていきますが、3倍より大きい恒星はドカンとい花火を打ち上げます。
こちらの記事参照

この超新星爆発は、普通は肉眼では見えないんですが、1987年に大マゼラン銀河で超新星爆発が起こり肉眼でも見える明るさになって、精密な観測がされました。
この超新星爆発で発生したニュートリノという粒子がカミオカンデ(日本のニュートリノ観測施設カ)で検出され、ニュートリノ天文学が急速に発展しました。
小柴昌俊名誉教授が2002年度、ノーベル物理学賞を受賞したのは、このカミオカンデの功績によります。

爆発後

太陽の3倍~8倍の恒星は、超新星爆発の後、何も残らずはじけ飛びます。
ところが、8倍より大きい恒星は、中心に中性子星が残ります。
中性子星を一言で表すと、物凄く高密度で・物凄く重力が強くて、物凄く高速で回転してる化け物みたいな星です。
ちなみに中性子星のカケラを牛乳パックに詰め込むと富士山と同じくらいの質量になり、中性子星の一日は0.01秒くらいだったりします。
もはや星と言えるかも怪しいくらいですね。
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ブラックホール完成

上で太陽の8倍以上の星は超新星爆発の後、中心に中性子星を残すと書きましたが、太陽の30倍以上の星は中性子星では終わりません。
中性子星がさらに重力崩壊を起こしブラックホールとなります。

ブラックホールと一般相対性理論

これまでブラックホールの誕生秘話について書いてきましたが、実はブラックホールを直接観測したことはありません。
じゃぁ、何でブラックホールがあるなんて分かるんだよ!という疑問にお答えいたします。
そもそもブラックホールは光すら吸収しちゃうので、目でも望遠鏡でも観測はできないんです。普段目に見えるものは全て光を反射したり光を発したりしているため見えるのはご存知の通りで、当然、太陽の光を反射していない時の月は見えないですよね。
ブラックホールはその最たる物なわけです。

そんな目に見えないようなブラックホールが存在すると分かった歴史について書いていきます。

かの有名なアインシュタイン博士は1915年に一般相対性理論という、とってもとっても画期的な論文を発表したのですが、その理論の心臓部分である、アインシュタイン方程式が以下の通りです。
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物理学科卒の方なら一度は手計算でこの方程式を導出した記憶はあると思います。大学3年生程度の力学と電磁気学とリーマン幾何学でじゅうぶん何とかなるレベルです。

実はこの方程式を解くのはすごく難しくて、今までフリードマンの解、シュヴァルツシルトの解、クラスカルの解、ワイルの解、カーの解、富松・佐藤の解などなど数個しか解が見つかっていないんです。
ところが、この難しい方程式を解くことで、宇宙の誕生からブラックホールの予言まで様々な現象が分かっているのです。それくらい凄い方程式なんですね。

このアインシュタイン方程式によってブラックホールの存在が予言され、今では、ほぼ間違いなくアルとされています。(はくちょう座X-1 地球から6000光年の距離)

ブラックホールの性質

その凄い式の意味を簡単に書くと、エネルギーによって測地線の計量が曲がる、というわけなんですが、それでも分かりにくいので、例を出して説明してみます。

薄いゴムの板の上にボーリングの玉を置いているところを想像してみましょう。
きっと上に置く前は平らだったゴムの板は玉を置くことでへこむでしょう。
このゴムの板に、さらに重い玉を置けばへこみ方は更に強くなるでしょう。

実は宇宙もこのゴムの板のようなもので、星という重い物が宇宙にあると周辺のゴムの板がゆがみ星の方に引き込むのです。
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宇宙空間に漂っている隕石が地球に落ちてくるもの、地球によってゴム板がへこんで、そのへこみに釣られて落ちてきているわけですね。
では、ブラックホールの場合はどうなってるのでしょう。
ブラックホールは凄い密度で凄い重いので、ゴム板が支えきれなくて破れて穴が開いている状態なんです。
もしゴム板に沿って歩いていたらどんなに頑張っても穴に落ちちゃいますよね。

それは光さえも落ちてしまいます。光は秒速299792.458km/秒という宇宙最速を誇りますが、その光ですらブラックホールの穴に落ちると出てこれません。
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これが先ほど、光を吸収してしまい、目には見えないといった所以です。

もしブラックホールに落ちたら

光ですら抜け出せないブラックホールに落ちたらどうなるんでしょうか。
まず身体が引きちぎられ即死します。その後、身体が分子、原子レベルまでにバラバラにされ、最終的に素粒子まで分解されブラックホールの一部となります。
今まで引き込まれてきた先輩方と同じ素粒子の一部となり10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年後くらいにブラックホールの寿命が来て無事に宇宙の塵になれると予想されます。

もし将来、宇宙空間をワープするような宇宙船が出来ても宇宙空間にぽっかり黒い穴が開いていた際は、高確率でブラックホールなので、注意した方がよさそうです。

永久機関の物理学 ~熱力学とエントロピー~

※ (株)プロトン・スズキ寄稿

たまに超有名新聞社が、永久機関とうとう発見か!という報道しているのを見ると何とも悲しい気持ちになります。

そもそも永久機関て何?

・第一種永久機関
熱力学の第一法則エネルギー保存則に反するもの。すなわち、外部からエネルギーを加えず、永遠に稼働するもの。この場合、無からエネルギーを取り出すことになる。
・第二種永久機関
熱力学の第二法則エントロピー増大の法則に反するもの。損失なしにエネルギーを移すことによって、周囲から動力を取り出す。すなわち、エネルギー変換効率100%の機関。

とのことですが、何とも分かりにくい説明ですね。
というわけで、簡単に説明してみます。

第一種永久機関

飲まず食わずで人間は働けない、ということです。そのまんまです。
何か仕事をしようとすると、必ず何かしらの燃料がいります。PCも携帯もバッテリーが無ければ動きませんよね。
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第二種永久機関

発電所の(水蒸気でタービンを回して作った)電気を使って工場の機械を動かします。
工場のその機械はひたすら水を温めて水蒸気にします。
そこで作った水蒸気を再び発電所に送って、最初と同じようにタービンを回して発電して…と以下無限ループ。
これは出来ないよ、という法則です。
発電所の電気によって動いている機械は、その供給された電気と同じ若しくはそれ以上の能力は得られません。
必ず、供給された電気未満の能力しか持たないのです。
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人間に例えると、どれだけ運動神経が良い人が居ても食べたご飯(受け取ったエネルギー)と同じだけ、若しくはそれ以上の仕事はできない、ということです。

何となくは分かっていただけたかと思います。
つまり、どんだけ頑張っても永久機関ってのは出来ないのです。変な新聞記事に騙されないようにしてください。

エントロピー増大の法則

エントロピーという言葉自体は、常日頃から使われている言葉ですね。
巷でよく使われる意味は、必ず時間によって乱雑な方向に進んでいく、でしょう。
例えるとコップにインクを垂らすと必ず拡散する方向に進み最終的に一様に混ざって元には戻りません。
でもコップ内の水分子やインクを構成している分子はランダムに動くため、もしかしたらインクの分子だけが一点に集まりインクを垂らした瞬間に戻るかもしれません。
でも、その確率って宝くじが当たるより遥かに物凄く小さいので、基本的には不可能だよね、じゃぁ法則にしてもええやん?てことです。

ただし、エントロピー増大の法則を扱う際には注意が必要です。
例えば、汚い散らかった部屋(エントロピーが高い状態)を掃除すれば、綺麗な部屋になります(エントロピーが低い情報)。なんと、宇宙の法則が乱れたゾ!なんてことにはなりません。
部屋を掃除した人は、何故掃除が出来たのかを考えてみましょう。
まず、体を動かすために腹ごしらえ、満腹になったところで手足を動かして、物をきちんとした場所になおしてあげる…これだけの過程ですが、そもそも体を動かすためには食事をしなければ動きません。外部からエネルギーをもらっています。
さらに、エネルギーをもらって体を動かすと熱が発生します。体温がその一つです。
また、そのうちトイレに行きたくなるはずです。

この一連の流れを熱力学的に捉えてみます。
食べ物を食べて(エネルギーを供給)部屋の掃除をします(部屋のエントロピーを下げる仕事をする)。
その内、汗をかいて体温があがり(人体から熱が発生し)最終的に部屋が片付きました(部屋のエントロピーが最低まで減る)
無事に部屋は片付いたので部屋自体のエントロピーはさがりました。
しかし、ただで部屋のエントロピーを下げられたわけではなく、まずエネルギーを供給してもらい、そのエネルギーを使って仕事をすると人から熱(老廃物)が出ます。
部屋のエントロピーを下げるために発生した代償(増えたエントロピー)の合計を考えると、全体としては結局エントロピーは増えてしまっていることになります。
これがエントロピー増大の法則です。
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というわけで、エントロピーを考えるためには、影響がある系全体を捉える必要があります。

エントロピーと永久機関

急にエントロピーの話が出てきてとまどいを隠せないと思いますが、ここからやっと繋がります。
熱力学第二法則って言いかえるとエントロピー増大の法則なんです。(色んな言い方があります)
つまり、経験的に我々はインクが拡散して元に戻らない事を知っているはずですが、それは科学的にも確率が高い方高い方に物事は進んでいくよって話なんですね。
これはどれだけ技術が発達しても抗えない法則で、科学技術によって50℃のお湯を0℃と100℃に分けて、高温の水をお湯から創り出し高いエネルギーを得たとしても、0℃と100℃に分けるのに必要なエネルギーの方がもっと高くついちゃうわけです。

どれだけ部屋を片付けても、どれだけクライアントが抱える複雑で困難な現状を整理して打開しても結果的には乱雑さは増すばかりです。
悲しい事実です。

面白いのかも物理学 ~身の周り~

てなわけで、今日は物理の楽しさって何?てのを書いてみようと思います。
正直、行き当たりばったりで書いてるので自分でもどういう記事になるのかわかりません。
自分のプランとしては、昔は数学や物理なんて見るのも嫌!大嫌い!だった人が、「あれ?なんかすんごい面白そう!」って思えるような記事になればなって思ってます。

まず「物理」について誤解を解くことからはじめます。
高校中学で物理というと、力学は自由落下や斜方投射など、いわゆる物体の運動です。
ある力Fが、物体の質量Mに作用すると、加速度aを得る、を色々式でいじります。
この時点で、うわ!つまんねぇ!てなる人が大勢います。
自分も物理がこんなんばっかだったら絶対に楽しいとは思えません。
でも本当の物理ってのはもっと奥が深くて興味深くてあるときは、さむいぼがたつくらい感動したりもするのです。勿体無い!だからまずは最初の砦をぶち壊して見ましょう。

自分が初めて物理に興味を持ったのは小学五年生のときでした。
理科辞典なるえらく分厚い辞典が家にあったのでどんなもんか読んでると天体などの分野を書いてるところで遥か彼方の銀河の写真やブラックホールの記事を読んでて「宇宙って凄い!広い!なんだこれ!面白そう!んじゃ宇宙てどこまで続いてるんだろう?
この疑問が全ての始まりでした。(ちなみに宇宙の端についてはまた今度にします。)
そこから宇宙の構造に非常に興味を持つようになり宇宙の始まりって何だろう、ビックバンてどうやって起こったんだろう、などなどその答えが知りたくて知りたくてどうしようもなくなって本を読んでみる、に至りました。
しかし残念ながら、小学生には到底理解できる内容ではありませんでした。
これを理解するためには、もっともっと知るべき事があるんだと実感しました。
じゃぁいつかこの答えを理解できるようになるために頑張ろう!てなったわけです。

よく小さいときに、「何にでも疑問を持つことは大事だ」と大人から聞かされましたがその通りだと思います。

別に疑問を持つ事は何でもよいのです。身の回りの事なんでもよいです。
どうして、机は硬いの?こんな疑問でも実は物理は非常に深く関わってきます。
磁石のS同士は反発し合います。これが電子レベルにみても起こってます。
マイナス同士の電荷が反発することによって机を上から強く押せば押すほど強く反発します。
実は机(物)が硬い(潰れない)理由はこういうのに起因します。(かなり大雑把ですが)

もっと物理と親しくなるために目の前にPCか携帯があると思いますが、ちょっと分解してみますか。
どんどん叩いて壊していきます。粉々になりました。砂粒までにしてもまだまだ大きいです。
このときの大きさが0.2mm=0.002mまだまだ目で見える大きさです。
hakai

もっと叩いていきましょう。今度は分子になりました。
このときの大きさが10億分の1m。0.000000001mです。もう電子顕微鏡でも精一杯です。
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もっと叩いていきましょう。今度は原子になりました。
このときの大きさが100億分の1m。0.0000000001mです。もう見えません。
もし自分が原子の大きさになったとすると1mは新幹線で約6年かかる距離になります。
だから原子にとって1mの移動は非常に大移動となるわけです。
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もっと叩いていきましょう。今度は原子核と電子(宇宙一小さい粒子)になりました。
このときの大きさが1000兆分の1m。0.000000000000001mです。はんぱないです。
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原子の大きさを大阪府とすると原子核はサッカーボール程度です。電子は米粒以下です。
実はこの例えで分かると思いますが原子内ってすんごいスカスカなんです。
自分が原子核だとすると府内には米一個と自分しか居ません。でも電気的な反発力で隣の京都府や兵庫県にはいけません。米粒の電子も近づけません。(波動力学、要勉強)
広いけど、米粒の電子がうろちょろしてるせいで実はあんま移動できない原子核君乙。

このスカスカ空間は人間の力では到底圧縮できません。はっきり言って論外です。
地球で一番強い圧縮機を使っても門前払いです。分子の配列すら変えられません。
もしそれが出来たら鉛筆の芯からダイヤモンドを作ることができます(両方炭素が主成分)が、しかしこのスカスカ空間を埋められる物があるのです。重力です。
ブラックホールになり得る位の巨大な重力で、この電子と原子核しか存在しないスカスカ空間を埋められます。原子核と電子が近づいてくるとどうなるでしょう。
原子核は中性子と陽子で出来ていて、中性子は電荷を持ちませんが、陽子はプラス電荷を持つため、電子(マイナスの電荷を持つ)が近づくと二つはくっついて中性子になります。
だから、原子核と電子はくっついて中性子だけになります。
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そうすると、さっきまで電子と原子核が距離を保ちながらうろうろしてた空間は中性子だけになり、隣接する府県の中性子も一緒にあつまります。さっきまでスカスカだった空間が
一転して中性子がひたすら敷き詰められた空間になってしまいます。これが中性子星です。
スプーン一杯で10億トンくらいの質量を持つくらい密度が濃くなってるんです。
地球の全ての陽子と電子をくっつけて中性子にすると、僅か1cm程度まで収縮します。
地球って、いや全ての物質は実は様々な反発力によって非常にスカスカだったんです。

そう考えてみると目の前にあるPCや携帯もすんごいスカスカだと分かります。
でもそう感じないのはスカスカじゃない手で触ってるからってだけです。

だけど人間はその世界一小さい粒子の運動を記述し制御するに至りました。その成果が目の周りにある電化製品そのものです。電子の動きを支配することにより半導体技術が進歩してコンピュータを作り我々の生活を支えているわけです。
なので、こんな小さい粒子とかどうでもええやん、なんて言うのはもはやナンセンスです。

高校の力学の物体の運動は確かにつまらなかったかもしれないけど、実はその延長にはマクロな宇宙があり、はたまたミクロの世界を扱う量子力学があります。
本当は先には楽しいトピックスがたくさんあるのに、扉を開ける時点でつまんないって自分から近づかないようになってしまうのは、本当は凄く勿体無いんです。

確かに数学の勉強はつまらなかったし、苦手な人からしたら難しかったかもしれません。
こんな事言うと数学屋さんに怒られるかもしれませんが数学ってのは物理の道具に過ぎません。
微分積分ってなんだよ。体積求めてどうすんだよ。実は体積を求める行為自体に意味はないです。
あれは、自然科学を勉強していて積分する必要がでたときにスムーズに演算できるように訓練するだけなんです。だから、こんなの解いてどうすんだよ・・・てみんな思うんです。
もしこれが、「ロケットを飛ばしたい。太陽系惑星の軌道半径と公転速度からロケットが惑星を使ってスイングバイするために必要な最小な燃料量と発射日時は?」となると意味のある計算になります。このグラフと軸とで囲まれた面積を求めよ、なんていう意味のないつまらない計算はハッキリ言って時間の無駄です。(計算出来る人からしたら)
だから、高校時代にもう数学なんてやりたくない!て思ってしまった人は、一番つまらない部分だけをさせられて、これから広がる世界を体験できなかったという実に勿体無いことをしてたんです。

しかし実は時既に遅しなんてことはないんです。
物理なんて楽しくないって人は、このつまらない数学とつまらない物理のまま思考がストップしてるので、ちょっと近づいてみると楽しいはずなのに最初から拒否してるだけなんです。中には理解するには高度な数学を必要とする場合もありますが、世に出回っている本には腐る程、数学や物理の門外漢でも楽しめる本はいくらでもあります。
「ホーキング宇宙を語る」などは世界的ベストセラーになりましたが、この著者は素粒子理論において世界一の頭脳を持ってます。
その人が、初学者にも理解できて且つ宇宙の神秘について語っている本です。
宇宙?あぁ物理か。無理無理。このような考えだけはなるだけしないようにしましょう。

中には本当に興味無い人もいるでしょう。自分も面白いのかもしれないけど、全く興味の無い分野は山ほどあります。でもそれは自分でも損をしてるという自覚はあります。
何でそんな思考になるかと言うと中学高校時代のイメージが強すぎて面白くなる前に勉強しなくなったからでしょう。
何かの機会さえあればこういう思考はすぐに吹き飛びます。そのきっかけになれれば幸いだな、と思いながらあんまりまとまってないけど、この辺にしときます。

飛び降りの物理学 ~気体と抵抗と~

巷でよく10代の若者が自殺、なんていう悲しいニュースが流れますが、生きてればなんかいいことあると思ってます。
生きることが目標の自分からすると、絶対にあってはならないことなわけですが…

そんな前置きをしておきながらではありますが、今私は橋の上に立っております。
下は何故かコンクリート。ここから飛べば楽にご臨終できるかな…と思案しているところです。
果たして何mくらいあれば、運悪く死ぬことができるのでしょうか。

一般的には20mと言われています。大体7階くらいでしょうか。
もちろん落ちる場所にもよりますが、コンクリの場合は確率は飛躍的にあがるでしょう。

前回、運動エネルギーやポテンシャルエネルギーについての記事を書きましたが、20mの所から落ちたら大体どのくらいの速度がでるのでしょうか。

計算してみたところ、地面に落ちる瞬間に秒速20mほど。時速72kmくらいになりました。
つまり、自殺限界の高さ20mから落ちるってことは、時速72kmで走りながら壁に衝突するような衝撃があるのでしょう。
※実際は、空気抵抗があるため速度はじゃっかん遅めになるでしょう。

空気抵抗

そのままですが、空気の抵抗です。

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水の中で動きにくいように空気にも抵抗があります。
空気抵抗は移動方向に対して垂直面の面積に依存します。なので、細い針を落とした場合と紙を落とした場合、当然後者がゆっくり落ちます。
20mの高さから飛び降りるとお亡くなりになりますが、蟻は死にません。
蟻は飛び降りてから約10cmくらいで、空気抵抗のおかげでそこから先はスピードがあがらないため、100mから落としても20cmから落としてもそこまで差はないようです。(もちろん空気抵抗以外に人間と骨格が違うという要素もありますが)

よく小さな隕石や人工衛星の残骸が大気圏に突入して、燃え尽きるという話を聞くと思いますが、これも空気抵抗…というのは間違いです。勘違いして説明してる方も多いです。
説明するとややこしくなりますが、簡単に説明すると、高速で移動すると目の前の空気を圧縮することになります。
空気は圧縮されると高温になります。大体、宇宙から大気圏に突入するときは目の前の空気を異常なまでに圧縮し結果2000度近くになります。
そりゃ普通の物質じゃ燃え尽きてしまいます。

とまぁ、私はいろんなことを考えながら橋の上から飛び降りを考えているわけですが、
橋を見てると、どうやって作ったのだろうという疑問も生まれてきました。

最新の吊り橋事情は変わってきてはいますが、昔は対岸まで人力で軽いロープを担いで渡してから、そのロープを通してだんだん太いのを渡していく形式だったようです。
ちょうど、タワーの上のクレーンを解体する時のようですね。
大きいクレーンを解体するときは、少し小さいクレーンで解体し、少し小さいクレーンは更に小さいクレーンで解体し…というループで
最後は、小さいクレーンを解体してエレベータで地上になおしてやる、という感じで。

時間も時間ですし今日の飛び降りはまた、今度にします。

お星様の物理学 ~核融合と原子~

夜空を眺めていると思うわけです。あの光は何年前に発せられた光なのだろと…。
1光年(光が1年間に進む距離)は約9兆kmです。
つまり太陽の次に近いプロキシマ・ケンタウリという恒星は4光年で、その距離36兆km。
途方もなく遠いその星は、仮に新幹線で行くとしても1300万年かかります。
ワープでもしない限り、別の恒星系にはなかなか行けそうにもないですね。

さて、話は変わりますがそれらの太陽などの恒星の中では何が起こっているのでしょうか。
水爆というのは聞いたことがあると思いますが、それと同じようなことが内部で起こっています。
核融合です。

水素(元素周期表の一番左上の一番軽いやつ)の原子核同士がぶつかって二番目に軽いヘリウムになります。

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このような感じで、軽い原子同士がぶつかって融合することで重い原子が出来あがります。
融合が起こる時に、莫大なエネルギーが生みだされるわけですが、水爆はこのエネルギーを利用しています。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、原子はこうやって生成されていくわけで、
酸素も水素も炭素もこうやって核融合することで生まれたのです。

ところが、恒星内部の核融合で作られる原子は鉄までです。
じゃぁ鉄より重い元素は、どうやって出来るのでしょうか。

太陽より重い星は寿命がくると超新星爆発というドでかい爆発を起こします。
この時のものすごいエネルギーの中で鉄より重い元素は作られます。

つまり指輪に使われる銀も金もプラチナも全て、超新星爆発によって生成されたものが
遥か彼方から途方もない年月をかけて宇宙空間を漂い地球の組成の一部になり、
指についているのです。
人体も同じで体内に含まれている銅も亜鉛もヨウ素もセレンもモリブデンもニッケルも
全部、重い恒星が起こした超新星爆発の残骸なのです。

人間は星から生まれたというのはどうやら事実のようですね。

これから星を眺めるときは、何兆km離れているんだろう…と思案を巡らすだけじゃなく、
この星はいずれ、どこかの惑星の誰かの体の一部になるんだろうか、などと考えるのも面白そうですね。

ちなみにですが、太陽光は8分かけて地球に到達します。
しかし太陽表面で輝いている部分は、元は中心核で核融合が起こりそれが表面に電磁波として
出てきた結果なわけで、中心核から外郭に出てくるまでに数十万年かかります。
なので、太陽を見て「8分前に太陽を出発した光かー」とつまらないことを考えるのではなく、
「数十万年前に太陽の中心で起こった核融合が、やっと来たか~」と考えてみると、
色々とありがたいかもしれませんね。

衝突の物理学 ~エネルギー保存則~

しもにゃんこと下山から玉の衝突についての質問をされたので、
簡単にまとめてみます。

tama

銀の玉が3つ並んだところに同じ玉がぶつかった様子を表しています。
右からやってきた玉は3つ並んだ玉にぶつかりますが、大事なのは赤い矢印の存在。
STEP1
動いている物体にはエネルギーというものが存在しています。(運動エネルギー)
STEP2
一番右の運動エネルギーというものを持った玉は、衝突すると止まるので、
運動エネルギーは失われます。
が、この運動エネルギーは完全に消滅したわけではなく、ぶつかった玉に
それが移り、更に隣の玉に移り更に隣の玉に移っていきます。
STEP3
すると最終的に一番左の玉に運動エネルギーが移り変わり、何かにぶつかって
止まるまで運動エネルギーは消えません。

この運動エネルギーの移り変わりこそが、一番右の玉と左の玉が離れているにも
関わらず左の玉が動き出す理由になります。

この例を見てもわかるとおり、STEP1~STEP3の一連の流れでは、運動エネルギーは保存されています。
つまり途中で消えてなくなったりはしません。

実は、保存されるのは運動エネルギーだけではなく、全てのエネルギーは保存しています。
例えば…

tama2

しもにゃんこと下山がピンチの図です。
以下にも頭上から鉄球が落ちてきそうな感じです。
鉄球はまだ、コロコロとゆっくり転がっていますが、この運動エネルギー以外にも、大きなエネルギーをもっています。
その名もポテンシャルエネルギー。ちょっとカッコイイ名前です。
高い所にある物はそれだけでもエネルギーを持っていて、高い所にある物は下に落ちると、高度を下げる代わりにだんだんスピードを上げていきます。

つまり、ポテンシャルエネルギーがだんだんと運動エネルギーに変わっているということになります。

今の例の場合、最初から持っているポテンシャルエネルギーを10とすると、玉が下に落ちることで高さが減るためポテンシャルエネルギーは10、9、8と減っていく代わりに、速さが増すため1、2、3と増えていきます。
なので、ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーを足せば常に10になるようにできています。

これをエネルギー保存則と呼びます。

今のところ挙げたエネルギーは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーだけですが、実はエネルギーには色んなエネルギーが存在します。

化学エネルギー 原子核エネルギー 熱エネルギー 電気エネルギー
静止エネルギー 音エネルギー 光エネルギー ダークエネルギー

などなどがありますが、大事なことはこれらの形態を変えながらも全てエネルギーは保存されるということです。

例えばさっきの鉄球が、しもにゃんこと下山に落ちるとどうなるか…

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しもにゃんこと下山が潰れてしましました。
これをエネルギーという観点で見てみましょう。

まず、高い所にあるためポテンシャルエネルギーがありました。
次に、落下することにより運動エネルギーに変換されました。
更に、しもにゃんこと下山にぶつかることで、鉄球は止まる代わりに(運動エネルギーを失う代わりに)、しもにゃんこと下山の体がひしゃげ、熱、光、音に変わっていきます。

これらの一連の流れでも、最初の4つの鉄球の衝突と同様にエネルギーは形態を変えながらではありますが、常に保存されています。

実は日常生活でも、それを体感することができます。

今ご覧になっている弊社のホームページを見ているPCやスマホ(ホームページ制作のことならユナイテッドユースへ!)はどうやって動いているか…もちろん、電気です。
その電気はどこからやってきているか、発電所です。
発電所の電気はどこからやってきているか…火力発電です(原子力発電、水力発電等もありますが)。
火力発電は石油などを燃やした熱で、水を水蒸気に変えタービンを回しています。

この一連の流れをエネルギーの視点で見てみましょう。

まず、一億年以上かけて出来た石油燃料を燃やして熱エネルギーを得ます。
その熱エネルギーによって水は水蒸気になりタービンを回し、運動エネルギーになります。
タービンを回すことによって発電するため、ここで電気エネルギーに変わります。

電気エネルギーが家庭まで運ばれて、PCを動かし画面に文字を移します。ここで光エネルギーに変わっています。
この光エネルギーが目に入り、網膜を刺激して体の中を電気という形で脳に情報が到達します。ここで電気エネルギーに変わっています。
その電気エネルギーが脳で色々と作用し電気エネルギーで筋肉を刺激し、筋肉が動くことで、しもにゃんこと下山は、くしゃみをします。

しもにゃんこと下山がくしゃみをするためには、一億年以上かけて出来た化石のお陰だったのでしょう。
ありがたいくしゃみです。

確率の物理学 ~コインのゲーム~

まず10,000枚のコインを用意します。
ゲームに参加する人数は、100人。
その100人にそれぞれ番号を振り当てます。貴方は77番になりました。
そして、1~100の数字が書いてある100枚の紙を入れた箱を準備し、
10,000枚のコインを適当にみんなに配ります。
1人100枚です。

coin1

まず箱の中から一枚、ランダムで紙を取り出します。77番が出ました。つまり貴方です。
そして、その紙を戻してもう一回、紙を取り出します。54番が出ました。54番さんです

この場合、貴方は54番の人にコインを一枚渡します。
これをひたすら繰り返します。

まとめると、

・一回目の番号の人は、コインを渡す人
・二回目の番号の人は、コインを貰う人
・二回とも同じ番号が出たら、コインの移動は無し
・一回目の番号の人がコイン0枚ならコインの移動は無し

もし、このゲームを延々と延々と繰り返します。

問題:何枚のコインを持ってる人が一番多いのでしょうか。
何枚のコインを持ってる人が多いか、という意味は、
例えば1人が10,000枚持っていて99人が0枚だったら、答えは10,000枚ではなく0枚、
99人が10枚ずつ持ってて、1人が9,010枚持っていたら答えは、10枚、ということです。

改めて、何枚のコインを持ってる人が一番多いか考えてみて下さい。

ビリヤードの物理学 ~壁の高さの理由~

※ (株)プロトン・スズキ寄稿

みなさん御存知でしょうか。ビリヤード台の壁(サイド)が特殊な形をしていることを。
biri
こんななってます。内の方は玉とかグリーンとかあるほうです。
なんでサイドが平らになってないのでしょうか。

壁の出っ張りの高さを測るとこから始めたのですが、ここはボールと接触するために
勿論ボールの直径も大きく関係してると思ってボールも計測を。
ノギスを拝借してきて(ノギスとは0.05㎜まで正確かつ簡単に測定できる機械)
それを店員に怪しまれないようにこそこそ測ってみました。ノギスとはこんな物です

nogisu
cf. wiki

台を測るために固い紙とペンを持って行って印をつけて
それからノギスでその紙書いた印を測りました。
実際にビリヤード場でやったのはこれだけ。後は机の上で。

まず玉の半径をaとして、キューで玉を突く高さを、玉を突く力をFとおく。
当然、床に転がる時に玉との摩擦が考えられます。その摩擦力をとおく。
また玉の重心速度(簡単に言えば玉が転がる速さ)をとおく。
あと必要なのは玉が回転する速さU
Uは玉の半径と角速度ωできまるので U=aω

角速度とは一秒間に何度回転するかということ。(正確にはω=dθ/dt)
すなわち一秒間に30度回転するとしたら π/6(rad/s)←radは表記的なものなので気にせずに。

もし玉の重心速度が玉が回転する速さより大きかったら、摩擦は後ろへ。
逆によりも大きかったら摩擦は前(進行方向へ)

何故こんなことがいえるかというと、玉と床の接点をPとおいてみるとPにおける
速さは玉が進む速度と玉が回転する速度によって決まるから。
これは自分の手でワッカを作ってどっち向きに摩擦がかかってそうか調べてみてください。

重心の並進運動 M*du/dt=F  M=玉の質量
重心周りの並進運動 dL/dt=N L=重心周りの角運動量、N=重心周りのトルク

L=Iω 慣性モーメント:I=2/5*Ma^2 (慣性モーメントは三重積分して計算が面倒なので暗記が必要)
∴ I×dω/dt=N (左式の×は乗算ではなく外積)

①  まずキューによる力Fを考える
M*du/dt=F ・・・(1)
    (1)の両辺を積分
M∫【0→Δt】du/dt*dt=∫【0→Δt】F(t)dt ・・・(2)

   (2)の左辺はΔt秒後の玉の速さvで右辺はキューによるΔt秒間の力積Sなので
 v(Δt)=S/M  ということになる。

②  次に重心周りのトルクNを考える
N=(h-a)F ←(h-a) はFの腕の長さになる。
I*dω/dt=N ・・・(3) 定義式
    (3)式の両辺を積分する
I∫【0→Δt】dω/dt*dt=(h-a)∫【0→Δt】Fdt ・・・(4)
    (4)の右辺はΔt秒後の角速度ω(Δt)で右辺は力積Sになる
∴ Iω(Δt)=(h-a)*S
 ⇔ ω(Δt)=(h-a)*S/I I=2/5*Ma^2

上のほうで書いたv-aωを①、②で出したものを代入してみましょう。

v-aω(Δt)=S/M-2/5*h-a/Ma*S
     =S/M[1-2/5(h/a-1)]
      =S/M[7/2-5/2*a/h]

興味深い結果が出てまいりました。
v-aω(Δt)=S/M[7/2-5/2*a/h]
先ほど上のほうで手でワッカを作ってやってみましたか?

v-aω(Δt)>0
すなわち摩擦が(進行方向右で)左側にかかるときは h/a<7/5
逆に、
v-aω(Δt)<0
摩擦が右側にかかるときは h/a>7/5
そして、
v-aω(Δt)=0
このとき玉が床を滑らずに 転がり h/a=7/5 ⇔h=7a/5

おお!これは!
hというのはキューで玉を突く位置、aは玉の半径。
ということは半径aの玉なら 7a/5 の位置を叩けば玉は摩擦による運動エネルギーの損失が無く
自分の打った力そのままで玉を転がせる事ができるはず!
これは当然ビリヤードの壁も7a/5になっているのではないか!?早速検証してみると・・・

壁の高さと玉の直径を書いた紙を多分ビリヤード場に忘れた…orz

でも多分、壁の高さも玉に無駄な回転がかからないように7a/5になっているはず・・・。
もしこれからビリヤードに行く方いらっしゃいましたら、
手玉の真ん中の上の2/5くらいの位置を突いてみてください。
きっと床を滑りながら回転せずに綺麗に回っていることでしょう。
そして壁にぶつかった後の玉も変なスピンがかからずに綺麗に回転していると思います。