やりがいとかいらないんでとりあえず残業代くださいとか言われる今日。一体どうすれば皆のモチベーションを高め、成長を加速させることが出来るのでしょうか。社員を管理し、育成を任されている人やチームで作業を行う人の多くが非常に頭を悩ませていると思います。
そんな方に役立ちそうなのが、「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャルメディア時代の新法則(2010,朝日新聞出版)」で紹介されていた従業員のタイプ分類です。それぞれの分類別に対策法を書いてみましたので、社員教育でお悩みの方のヒントになれば幸いです。
社員の気持ち、立ち場を理解することは、業績向上はもちろん、社内テロを防ぐこともできます。(待遇に不満があると自社の冷凍食品に農薬を入れる人がいる時代になりました)
主な傾向を知ることは、「こういう人がいるんだ」という他人への理解のきっかけになります。まずは、自分とは違う人がいることを認め、理解することからはじめてみましょう。
社員・従業員セグメント6タイプ分類
楽して稼ぎたがるセグメント
手軽な成功を求めるタイプ
それなりの収入を得るために、義務的に仕事をしています。向上心が高いとはいえない彼らの成長を狙う場合には、小さな目標と小さな成功体験を重ねていくようにする等、上司によるコントロールが必要です。
柔軟なわき役のセグメント
まだ仕事を優先事項とはみなしていないため、流れに身を任せるタイプ
仕事以外で夢や目標または大切なものを持っているタイプです。仕事の楽しさを伝えつつも、プライベートへの配慮が必要です。挑戦の場や目標の設定は不適切です。
リスクと報酬を求めるセグメント
仕事を挑戦の機会とみなし、自らを奮い立たせるタイプ
自由と挑戦の場を与えましょう。不自由な環境または報酬が不相応と感じると、転職するかもしれません。
個人の専門技能を生かしてチームで成功したいと考えるセグメント
チームワークとコラボレーションを与えてくれる仕事を求めるタイプ
個人戦だとモチベーションが上がりません。個人の目標よりもチームの目標を与えましょう。
確実な前進を目指すセグメント
前途有望なキャリアパスを求めるタイプ
安定ポジションへのキャリア作りに興味があります。安定が期待できなくなった場合、転職を考えるかもしれません。
目に見える足跡を残したがるセグメント
会社に永続的な影響を与える機会を求める
名誉・栄誉、評価が必要なタイプです。自主性を尊重し、スキル(稼げる能力)向上の場を与えましょう。
マッキンゼーの従業員セグメント4分類
上記の分類は組織と人材活用の専門家タマラ・J・エリクソンによる分類方法です。この分類方法は、マッキンゼーの設定した従業員セグメントは上記の分類方法と似ているそうです。マッキンゼー式は、下記の4分類です。
- 成長と達成を求める勝ち馬に乗る社員
- 高い報酬を求める高リスク高報酬型社員
- 柔軟性を求めるライフスタイル型社員
- 大きなミッションの貢献機会を求める世界を救おうとする社員
非常に良く似ていますね。分類方法の根本的な部分はきっと同じなのでしょう。
シグニチャー・エクスペリエンスとは
その職場で働くことでしか得られない経験、職務経験を「シグニチャー・エクスペリエンス」といいます。
採用活動、人材配置を検討する際、会社の提供するシグニチャー・エクスペリエンスと社員の希望するシグニチャー・エクスペリエンスを一致させることは、組織力アップにおいて非常に重要なことです。
従業員のセグメントを理解し、会社の提供するシグニチャー・エクスペリエンスを明確にすれば、組織づくりはきっと円滑になり、無駄な苦労は激減します。
部下やチームのメンバーのことでお悩みの方は、適切な人材配置と教育の実施のためにまず、「従業員のセグメント」「シグニチャー・エクスペリエンス」を意識してみてはいかがでしょうか。
もちろん、先輩や上司に悩んでる方にとっても、お勧めです。
ピーター・ドラッカーいわく「部下をコントロールするより、上司をコントロールする方が簡単」だそうです。
「人」の悩みは尽きませんが、改善の方法は意外と色々あるものです。様々な知識・ノウハウを取り入れて、良い職場をつくっていきましょう。